今回はおもしろインディーズ候補に注目するまでもありませんでした。だって主要候補といわれるひとたちがすでにインディーズ感満点だったから。当選した舛添さんなんて新党改革というマニアしかしらない小政党の代表だったひとですよ。ほかにも「新党ブーム」の立役者で非自民8党連立政権を樹立した日本新党の細川護煕元首相、前回都知事選で社民党・日本共産党・日本未来の党・みどりの風・新社会党・緑の党・東京生活者ネットワークという一見広くも狭いカテゴリ内の多くの小政党から推薦・支持を受けた宇都宮健児氏(※今回都議会生活者ネットは細川氏を支援)、石原元都知事らの応援で見事「脱泡沫」に成功した元航空幕僚長田母神俊雄氏らを筆頭に、「2000RTされたら出馬します」という冗談のような理由で出馬したIT企業家の家入一真氏、おなじみドクター・中松氏やマック赤坂氏ら16人が立候補しました。
実際各候補者の政策もよく練られていないと感じるものが多く、論戦では「議会と粘り強く交渉する」「都民のみなさんにおねがいしていく」といった問題の先延ばしとも受け取れる発言が各候補者から相次いだ。
結果、舛添氏が211万2979票という得票数で当選、2位宇都宮氏(98万2594票)、3位細川氏(95万6063票)にダブルスコアの大差をつけた。
投票率は46.14%。2012年の前回(62.60%)を大幅に下回り、過去3番目の低水準となった。
(都知事選2014の都選管投開票速報ページはこちら⇒東京都-H26東京都知事選挙投開票速報)
投票率の特に低かった開票区を見ると奥多摩など大雪で交通が分断されていた地域が多く、こうした選挙区では一部の投票所で投票締め切りが前倒しになるなど利便性に大きな影響がでた。だがここまで低い投票率というのは大雪の影響だけではない。16人の候補者の多くが60代以上の高齢で、若者が疎外感を感じたことや、猪瀬都知事就任から約1年での選挙に「また辞めるのではないか」と期待感が持てなかったこと。オリンピック招致の推進や原発依存度の低下、雇用と社会保障の問題などの争点不足にもあったと思われる。
事前の世論調査などでも終始舛添氏優勢が伝えられ、自民党や公明党、連合の全面的バックアップを受けて盤石な戦いを進め、きわめて堅実に勝利を収めた。
さて、今回細川陣営には細川氏自身に加えて小泉・菅・野田と少なくとも4人の首相経験者が集い、民主・生活の党・結いの党が支援。ほかにも維新の会の国会議員や生活者ネットやみんなの党含む地方議会議員、旧日本新党関係者がつどい、都知事選で細川さんを応援するためという時期的にもトピック的にも限定したものだったとはいえ、その規模はいちばん大きかったときの民主党に匹敵し、自民党に対抗しうる人脈的広がりをみせた。これは政界再編のなにかヒントになる気がする。ひとつは「伝説の人物」の登場だ。細川護煕という、長らく隠遁していた政権交代を実現したスターがあらわれたという物語性が、反自民勢力を一気に活気づかせたということだ。昨今の自民党で首相経験者の安倍氏や麻生氏が再登板し、小泉元首相の息子である小泉進二郎氏が人気を集めているのも似た傾向だ。とにかく、いま政治は「安定志向」を望んでいて、昨今の政治の低迷を「最近の政治家はだめだ」という理由に落とし込め、よかった昔(そんな時代は実際には存在しないのだが)を思い出させてくれる当時の政治家やその2世に期待しているのだと思う。あるいは、日本維新の会など坂本龍馬や幕末の英雄ら歴史上の人物を標榜する動きもそれとやや似た傾向なのかもしれない。とすれば、政界再編の鍵は日本近代政治史上の歴史的人物やその家族を旗印にしたり、形だけでも標榜することが重要になりそうだ。
参考リンク:
最近のコメント