http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120425/elc12042523560000-n1.htm
樽床私案で試算 中小政党が躍進、やはり「連立」必須 ブロック廃止の余波も…
2012.4.25 23:54産経新聞は25日、衆院選挙制度改革協議会座長の樽床伸二民主党幹事長代行の新たな私案を基に平成17年と21年の両衆院選の各党得票数から獲得議席数をシミュレーションした。中小政党に有利な連用制を一部導入することにより、民主、自民の二大政党が大幅減となる一方、公明、共産など第三党以下は総じて議席を伸ばす結果となった。
私案によると、現行の小選挙区比例代表並立制と同様に、有権者は選挙区と比例代表に1票ずつ投じるが、比例票は「並立制」と「連用制」に2回カウントされる。試算では、小選挙区は旧来の300選挙区のままとした。
民主党が圧勝した平成21年衆院選の試算では、民主党は56議席減の計252議席で議席占有率は62%、全体の3分の2に届かなかった。野党第一党の自民党は36議席減の計83議席で占有率も微減。第三党以下は軒並み占有率を上げ、共産党は6議席、公明、みんなの両党は4議席ずつ増えた。
一方、ブロック制廃止に伴う余波も表れた。全国に候補者を擁立した幸福実現党は1議席を獲得。地域性の強い政党には不利となり、新党大地(現新党大地・真民主)は議席を失う結果となった。
自民党が大勝した17年衆院選の試算でも、自民党は計247議席となり、占有率61%はほぼ同じ。民主は計74議席で占有率は23・5%から18・3%に下がった。共産党が7議席、社民党は5議席増。逆に公明党は選挙区で8議席を得たこともあり、連用制の議席が伸びず1議席減となった。連用制導入は、中小政党であっても、地域性が強かったり、選挙区で議席を得ると不利になる傾向が浮き彫りになった。(小田博士)
主に少数政党と多数政党の対立、地域性の強い小選挙区出身議員と弱い比例区出身議員の対立などを背景に混迷が続く衆院制度改革。新聞各紙の報道などで衝撃的だったのは改革案によって国会から議席を失ったり、新たに獲得する可能性のある政党の存在だ。
幸福実現党は2009年自民党の記録的大敗により麻生内閣が倒れ民主党への政権交代が行われた第45回衆議院議員選挙を前に結党された政党で、当時話題になっていた新興の宗教団体「幸福の科学」を母体としたものだ。その政界進出は映画進出などとともにオウムを想起させるとしても話題になった。(が、むしろ90年代オウム関連のスキャンダラスな報道が増えたのは幸福の科学関連の報道が減っていった時期と重なっており、リバイバルともとれる。)実は幸福の科学の大川隆法総裁は以前から自民党支持を明言しており、幸福実現党の結党は自民党の凋落とともに「日本に保守政治を守る」ことを目的と称して政界における自主行動を示したもの。漫画家のさとうふみや氏や元THE BLUE HEARTSの河口純之助氏、「NNNニュースプラス1」の田中順子氏ら著名人を含む大量の候補者を300の小選挙区と11の比例ブロックすべてに擁した。その後も多くの国政選挙や地方議会選挙に大量の候補者を擁立しているがいずれも当選したことはない。また2010年5月には舛添要一への合流に反対し離反した元改革クラブの大江康弘参議院議員が入党し、一時国会に議席を要する政党となった(※公職選挙法が定義する政党「政治団体のうち、所属する国会議員(衆議院議員又は参議院議員)を5人以上有するものであるか、近い国政選挙で選挙区・比例区のいずれかにおいて全国を通して2%以上の得票を得たもの」ではない。)が、意見対立などからその後同年12月に大江氏は離党した。なお同氏は翌2011年9月に院内会派「自由民主党・無所属の会」に参加し、12月には自由民主党に入党届けを提出している。
幸福の科学系のオピニオン誌「ザ・リバティ」の電子版では「併用制」の場合同党が3議席を獲得する目論見があることも紹介している。
「併用制」なら幸福実現党3議席獲得との試算 衆院選挙制度改革 | ザ・リバティweb - 幸福の科学出版 | 幸福の科学・幸福実現党
今回の衆院制度改革で実際に幸福実現党が議席を獲得すれば、同党として初の選挙戦勝利ということになる。それ以上に、ある程度の支持母体がある団体が全国に大量に候補者を擁立すれば国政進出が可能ということになってしまう。すなわち、現在は民主党や自民党に組織内議員を送り込んでいるほかの宗教団体や業界団体、医師会、労働組合団体などにとって、その組織の候補者が改革された連用制比例代表制や併用制比例代表制で当選する算段が極めて高くなってしまっているということだ。
以下は幸福の科学関連のニュースクリップを取り扱うサイト「獏 論 」の記事へのリンクだ。
http://spiruna.blog89.fc2.com/blog-entry-1236.html
獏 論 [幸福の科学アラカルト]: 選挙区制度改革にもとづく樽床私案で衆院選を試算 [時事通信・産経新聞]
中小政党の躍進が期待されるのは少数でも無視できない社会的弱者などの意見を吸い上げるためであって、特定の団体の利益のために活動するような政治団体が跋扈するような制度改革はあってはならない。
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