うちでは読売新聞をとっています。
今回の森口氏の報道の件、最初に報じた読売新聞や共同通信の科学リテラシーを問う声が大きいように思います。
たしかに読売新聞は大きな間違いを犯しましたがすぐに「誤報の可能性が出てきたため事実関係を検証いたします」という声明を掲載し、その後誤報の可能性が高まった際は大きく謝罪文を掲載した上で検証特集を続けた点はもうちょっと評価されてもいいのではないかと思っています。少なくとも今回の一件をして「これだから大手メディアは信用できない」と大手メディアを十把一絡げに批判する例に使うのが適当かどうかについては僕は大きな疑念を持っています。誰だって間違いは犯します。しかし大事なのは素直に過ちを認め次のステップに移ることなのではないでしょうか。どこぞの経済新聞は日常的に"飛ばし"記事を連発し、のちにその報道が誤報だとわかったり、その報道がもとで構想や合併話が破談になったりしても隅っこに小さく「訂正」を載せるだけです。系列の雑誌やウェブサイトで検証コラムが載ることはありますが、本来は毎回今回の読売新聞のように一面に大きく「訂正」ではなく「謝罪文」を載せるべきなのではないでしょうか。
そんなことを考えていたら、江川紹子氏がツイッターで自身の経験に照らしてこの問題の本質を衝く意見を述べられていらっしゃいました。
「マスメディアの誤報を防ぐ方策と現状」 - Togetter
みなさんはこの問題、どう考えましたか?
*読売新聞東京本社編集局長の名で発表した謝罪文
今回の事態を招いたことに対し、読者の皆さまに深くお詫わびいたします。
読売新聞は今月11日朝刊1面に、米ハーバード大の日本人研究者らがiPS細胞から作った心筋細胞を重症の心不全患者に移植したという記事を掲載しました。
京都大の山中伸弥教授がノーベル生理学・医学賞を受賞することが決まった直後で、難治の病に苦しむ患者さんにとって「夢の治療」を身近に感じられる記事だったに違いありません。本社には、読者の方から「心強く勇気付けられた」という声も届きました。
しかし、「初の臨床応用」の朗報に疑義が生じました。自ら本紙記者に売り込んできた東大医学部付属病院特任研究員で「ハーバード大客員講師」を称する森口氏は、口頭での発表を予定していた日、国際会議の会場に姿を現しませんでした。また、ハーバード大も、手術を実施したとされた病院も、移植手術を否定し、論文の共同執筆者に名を連ねる研究者も、論文の存在やその内容を知らないなどと答えました。
「事実だ」と主張し続ける森口氏の説明は客観的な根拠がなく、説明もまったく要領を得ません。
私たちはそれを見抜けなかった取材の甘さを率直に反省し、記者の専門知識をさらに高める努力をしていきます。
本紙は過去にも森口氏の記事を取り上げています。そのうちの2010年5月の記事について東京医科歯科大が12日、同大での実験や研究を否定しました。ゆゆしき事態であると認識しています。
iPS細胞の臨床応用の実現に大きな希望を抱いた患者さん、こうした患者さんを救うために日々、地道な研究を積み重ねている多くの研究者の皆さんの気持ちに報いるためにも、徹底的な検証作業を続けていきます。
(2012年10月13日07時08分 読売新聞)
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