ゼミの人間関係が希薄になったと言われて久しいです。
この傾向はとくに文系で顕著で、就職活動が早まってきたのと期を一にして、授業を軽視しての就職活動、あるいはそれに応じる形で教員や大学側が卒業論文の提出を緩和したのと関連した現象のようです。
あるゼミでは入ゼミ後1年後の出席率が半分以下、ゼミ運営がままならない状態で担当教官も何をしていいかわからない状態。またおなじ指導教官のゼミでありながら前後の代で交流の全くない例なども多くあるといいます。
ゼミ教育に力を入れるため、各大学や学部では主に初年度教育にレポートの書き方や文章構成を学ぶ少人数制の授業を導入するなど様々な取り組みを行っています。
さてそんななか慶應義塾大学では他学部のゼミに入室して卒業単位として計上することが可能な取り組みをやっているそうです。以下のリンクでは実際に他学部ゼミに入室した学生と受け入れている教員のインタビューが紹介されています。その中にはももクロのコピーユニットとして話題のにじいろトマトメンバー宗かおりさんのインタビューも含まれています。
一定の世代より上のひとたちに聞くと、かつては有名な先生のところには自然と他学部や他大学からモグリの学生が集ってきたとのこと。僕自身履修登録上のゼミと別に先生に頭を下げてモグリでゼミをやらせてもらってますが、人脈の広がり方や両先生の学術的スタンスの違いなど、2ゼミの両立というのは非常に意義深いものになっています。
実は僕の所属する明治大学商学部には、商学部特有のマーケティングや会計学、などを学ぶ商学専門演習のゼミとフランス文学、日本文化史、心理学などの教養科目を担当する教員のもとで学ぶ総合学際演習がそれぞれ多数開設され、別々に単位として計上されます。ゼミの入室は強制ではないので商学専門ないし総合学際のどちらかのゼミだけでも良いし、双方からひとつづつ選んで入室しても構いません。これを商学部ではダブルコアと呼び、ひとつの売り物としています。
現状、2ゼミの両立はどうしても個人の努力になってしまい、どうしてもグループ課題の期日が重なった場合などは苦労しているようですが、僕の場合など、個人研究の比重の大きいゼミの場合非常に上手くいっています。
商学部ではダブルコアを継続させるためのサポート体制が欠如していて、1年11-12月のゼミ選択時でダブルコアを選択していた学生の半数近くが卒業時総合学際ゼミを切り捨てているようです。学部事務室としては夏季休業中のゼミ合宿期間がかぶらないように先生方に対して指導をするなどしていますが、そんなのは忙しい先生の都合を無視した行為です。
ゼミでの悩みを先輩が聞ける体制、あるいはゼミ生と担当教官が密接に連絡を取り合える体制などを制度として確立していけばもっとうまくいくと思います。
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