山田前農相、仙谷氏の更迭要求 TPP交渉巡る発言で
- 2011/10/31 12:02
民主党の山田正彦前農相は31日午前、国会内で樽床伸二幹事長代行に会い、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加に反対する議員に批判的な発言をした仙谷由人政調会長代行の更迭を求めた。樽床氏は「きちんと聞いておく」と応じたという。
仙谷氏は29日の同党の前原グループ研修会で、反対派を念頭に「自分の信念なのか、宗教的な関心か知らないが、党内合意を形成させないことを自己目的化して動くことがあってはまずい」などと発言していた。
与党議員を中心とした「TPPを慎重に考える会」の会長を務める山田氏は樽床氏に「拙速かつ強引に交渉参加を決定するのでなく、政府から可能な限りの情報提供を行わせるべきだ」などとする抗議文を渡した。「丁寧な議論を積み重ね、国民を巻き込んだ議論の中で慎重に一定の方向性を出すべきだ」とも要請した。
2chなどで話題になってもよさそうなゴシップ臭のする発言だが、山田氏がクリスチャンであると伝えられていることとはあまり関係がない。それよりも仙谷氏が意図しているのは山田氏のバックについている立正佼成会などである。そもそも仙谷氏は民主党内の宗教勢力の影響力を弱めようという運動をずっとしてきた人物であり、宗教団体に対するアレルギーが非常に強い。
幸福の科学などの新新宗教、真光系教団などの比較的古い新宗教、あるいは天台宗や真言宗、神社本庁などの伝統宗教も含め、多くの宗教団体は団体関係者および信者という票田を武器に民主党や自民党など多くの政治家を取り込み、自分たちに有利な政策を推進する代表者に仕立てようとしている。この動きは近年特に活発化しており、大物政治家の宗教団体との結びつきを指摘する週刊誌報道なども増加している。主たるものが新日本宗教団体連合会(新宗連)の政治活動(ロビー活動)復活である。
新宗連は、創価学会とたびたび対立する立正佼成会、PL教団、崇教真光などの新宗教団体(明治以降に誕生した宗教)の協議・連絡・対話のための組織である。かつては自民党の有力な支持母体の一つであったが、その後しばらくの間新宗連単位での政治ロビー活動を休止し、各教団単位で各議員の支持に回っていた。その新宗連が、分断していた真光系3教団の和解などを期に対話を深め、2009年の8月の衆議院解散総選挙で、新宗連として多くの民主党系議員を支持することを決めたのだ。このことも民主党が政権を奪取した大きな追い風となったといわれている。
詳しくはこちらの記事も参考にされたい。
http://www.news-postseven.com/archives/20101124_5966.html
宗教系の政治団体というと一般的には創価学会を支持母体とした公明党や、幸福の科学の幸福実現党くらいしか知られていないかもしれないが、実は党派を問わず多くの議員が、一般に見えづらいかたちで宗教団体の力を借りて当選している。
たとえばこちらの国際勝共連合は名前の通り共産主義の世界規模での打倒・根絶を目指す政治団体だが、統一教会が母体となっている。駅前での勝共政治部員による演説・アジテーションなどを聴くと中国や北朝鮮の脅威に軍備で備えよなどという点は右翼的だが、一方で日韓トンネルの建設など韓国との政治的・経済的連携の強化を主張している点が特徴的である。勝共が支持し・連携して運動する勝共議員連合の議員のなかには安倍晋三や平沢勝栄の名前も見られる。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%8B%9D%E5%85%B1%E9%80%A3%E5%90%88
このような状況下でことさらに公明党だけを非難する姿勢には違和感を覚える。むしろ見えないところでコソコソと宗教団体とやりとりをしている議員たちのほうがあくどいのではないか。
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